森永乳業(2264)【バイオマス熱利用システム 食品カスを水分に応じ燃料化!】


森永乳業  [2264] 東証1部 時価:439円

円安の進展、中国などの新興国の経済成長に伴う需要増による輸入原材料価格の高騰、そして、エネルギー価格の上昇に伴う電気料金の値上げなど厳しい経営環境に立たされている食品メーカー。企業努力で吸収しきれないコスト上昇に対し、値上げが相次ぐ中、乳業大手の森永乳業(2264)は主力の神戸工場(神戸市)に最先端の省エネ技術を導入、環境への配慮とコストダウンを両立させている。2006年から稼働した神戸工場は、コーヒー飲料の「マウントレーニア」やヨーグルト、流動食などを生産する。ただ、当初はマウントレーニアの製造工程から出る年間約1万5000トンの「コーヒーかす」の処理が大きな課題だった。
この問題を解決する技術が、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)やプラントメーカーとの共同研究で導入したバイオマス熱利用設備だ。大きな特徴は、様々な商品を生産する過程で生じる食品の残渣(ざんさ)を水分量に応じて処理できる点だ。 コーヒー飲料やヨーグルト等から出る水分量の多い排水は、メタン発酵させることで生み出したバイオガスを、ボイラー用燃料にできる。一方、水分量の少ないコーヒーかすは、乾燥機にかけることで、固形燃料としてボイラー燃料に変えている。更に、こうしたバイオマスエネルギーを使用したボイラーで生じた水蒸気は、気圧をかけて140〜150度まで温度を上げ、全て工場内で製造している飲料の加熱処理に利用する。 水蒸気による加熱処理で、本来ボイラーに利用していた天然ガスや石油などの燃料の削減に成功した。二酸化炭素(CO2)の削減量は、年間1900トンにも達する成果を上げており、12年には環境省から「循環型社会形成推進功労者」として表彰された。
一方、飲料の製造工程では、大量の水を使用すると同時に飲料の成分が混ざった排水も多く出る。排水を処理して川や海に流すには透明度や有機物の含有量など複数の厳しい基準をクリアしなくてはならない。そこで行っているのは微生物を使用した処理と排水処理の過程で最後に沈殿物として残る汚泥の肥料化だ。処理後の排水もただ海や川に流すのではなく、一部は小型水力発電に利用する。年間840キロワット時の電力に生まれ変わることで、約470キログラムのCO2削減に貢献している。このように、バイオマス熱利用を中心とした環境に優しい技術の活用は、食の安全安心とともにコスト削減努力を求められる食品メーカーで各社とも積極的な導入が進みそうだ。
同社の15年3月期の連結経常利益は前の期比33.6%減の82.3億円に落ち込んだが、16年3月期は前期比33.6%増の110億円にV字回復する見通しであり、今後の暑さが厳しくなるにつれ、アイス等の需要が増えることが予想される。
2015/06/08/ 8:10