キューリン製薬HD(4569)【「桃太郎源」と遺伝子治療薬で治験】

キョーリン製薬HD  [4569] 東証1部 時価:1,906円

キョーリン製薬HD(4569)と岡山大学発ベンチャーの「桃太郎源(岡山市)」は、ウイルスを使い、抗がん作用のある物質を作り出す遺伝子を細胞内に組み込む治療薬の臨床試験を始めた。遺伝子治療で国内での具体的な治験に入るのは珍しく、両社はがん細胞を選択的に攻撃でき、がんに対する免疫を強化できる作用があるとして期待している。
新薬はアデノウイルスを活用した製剤に、岡山大で発見されたがん抑制遺伝子「REIC」を組み込む。REIC遺伝子は、「不死化関連遺伝子」と呼ばれ、正常な細胞が一定期間を過ぎれば死に、新陳代謝することと関連している。がん細胞ではこれが失われており、がんが増殖する一因となっている。
 薬をがんの患部に注射すると、ウイルスががん細胞に入り込んで遺伝子を挿入する。その後細胞内でREICたんぱく質が生産されると細胞にストレスがかかり、がん細胞が死亡する。これまでに動物などでの実験で、こうした作用が明らかになっているという。
 この際、正常細胞とがん細胞では反応が異なり、がん細胞だけを殺すことができる特徴がある。またREICたんぱく質が免疫細胞を刺激し、がん細胞を排除する機能を増強する効果があることも分かっている。肺がんだけでなく、固形がん全般に効果があり、幅広い応用が見込まれるという。
既に米国では、桃太郎源が前立腺がんを対象にした治験を単独で実施している。キョーリンHDは日本国内で共同開発する。
岡山大学病院など全国3病院で9月、「Ad―SGE―REIC製剤」の初期段階の治験を始めた。対象となる疾患は悪性胸膜中皮腫という肺がんの一種だ。患者数は多くはないが、主にアスベストの吸引で引き起こされる難病で、治療法の確立への社会的なニーズが高い。
遺伝子を体内に組み込んで病気を治療する遺伝子治療を使った薬は、これまでほとんど実用化されていない。今回のAd―SGE―REIC製剤は国内の遺伝子治療で最も進んだ実例の一つとなりそうだ。
2015/10/07/8:15