自動運転技術が自動車産業の再成長をもたらす

自動運転技術を搭載した自動車が実用化の時期を迎えている。2016年以降、国内外の完成車メーカー各社が、高速道路限定の自動運転技術を搭載した自動車を相次いで
投入する予定だ。背景には自動運転技術の進歩に加え、使用される各種センサの価格低下がある。今後も同様のトレンドが続くことで、野村では21年には、軽自動車を含む自動車販売全体の約3割に同機能が搭載されると予想している。ただ、歩行者や対向車、路面状況など、環境の変化がより多様な一般道路における自動運転には、更なる技術的進歩が必要と見られる。例えば人工知能技術である。現在の技術は、車載カメラから得た画像データを元に、前方の物体が何かを認識し、危険と判断すればそれを回避するようプロラムされている。今後は、人工知能が人間と同じような運転技術を習得するために車外の画像データと人間(運転手)が過去にとった行動パターンとを照らし合わせ、特定の局面で人間ならどう行動するのかを学習するようになるだろう。こうした技術開発に向けた企業の動向を見てみると、我が国最大の自動車メーカートヨタ(7203)は、シリコンバレーに巨費を投じて人工知能の研究拠点を開設し、研究開発をスタートしている。また、ICT(情報通信技術)の世界大手企業も相次いで自動運転技術の開発を行っている。
ICT 技術の急速な進歩が自動車にもたらされ、自動運転技術が一般的になれば、様々な分野に変化をもたらすと見られる。例えば、15年の国内の交通事故死亡者数は4,117人である。もしも自動運転自動車が事故の発生を抑制し、事故時の被害も軽減できるのならば、自動車は「安全」という付加価値を手に入れることになる。また
自動運転により前方の車両との距離を一定に保つなど、効率的な運転がなされれば、渋滞の軽減も予想される。
更に、自動車が交通需要により柔軟に対応できるようなると、特に近距離では、鉄道に代わって、人・モノの移動を行う頻度が増えると見られる。将来的にその波及効
果は不動産の価値も変動させ、「駅から徒歩何分」との不動産の宣伝文句が変わる可能性もあるだろう。自動運転技術を搭載する自動車産業の更なる成長が期待される。

野村證券資料より