日本アジアグループ(3751)【挑戦なくして成長なし、官僚・証券マン転身で飛躍!】

日本アジアグループ  [3751] 東証1部 時価:413円

昨年5月に東証マザーズから1部へ市場変更を果たした日本アジアグループ(3751)の会長兼社長を務める山下哲生(64)は元官僚、証券マン、香港での起業と多彩な経歴を持ち、空間情報のコンサルティングやエネルギー、金融など事業は多岐に渡り、新規事業の立ち上げを中心に「挑戦」の信条を貫いてきた。同氏は今、次の成長へ向けて心持ちを変えつつある。
 「まさに面従腹背。過半数を取るまでしゃべるなという見えざる空気を感じていた」。山下には今でも忘れられない時期がある。2006年12月、日本アジアグループの前身の会社を通じ、測量大手の国際航業の筆頭株主となった頃の話だ。
 双方の思いが一致していたはずだったが、待ち受けていたのは旧経営陣からの反発だった。社内体制の変革や新規事業を進めようにも周りがついてこない。「あいつの言うことを聞けば何とかなる」。諦めずに距離を縮め、そんな雰囲気を作り上げるまでに6年の月日を要したという。
「ダメになる会社は新しいことに挑戦せず、過去にしがみつく。人間も同じ」。山下の持論だ。09年、一向に変わらない国際航業にエネルギー事業を持ち込んだ。目を付けたのは太陽光発電。今では参入企業が相次ぐ分野だが、当時はその後にバブルを引き起こした政府の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度もなく、注目度は決して高くなかった。
 ただ、「絶対にうまくいく確信があった」。その確信を裏付けるのが最初に発電所を設けた地域だ。山下が選んだ場所は日本より再生可能エネルギーの導入が進んでいたドイツ。同国で確立した制度などが日本へ導入されることを見越しての判断だった。
 先駆けて事業を始めたこともあり、今ではエネルギー事業は日本アジアグループの主要な収益源となった。すでに50カ所超の発電所を国内で展開し、16年3月期にはセグメント別で最も多い約19億円の営業利益をたたき出した。「当時はまだ外様と見られていて、周囲の反発もすごかったが」と山下は振り返る。
 様々な組織、業界に身を置いてきた山下は、どの場所でも「自分の信じた道に挑戦してきた」という。創業当初には5億円の資金繰りで行き詰まったこともあったが、「物事をしっかりと考え、目標に向けた努力を積めば必ずいいアイデアと結論が出る」と考える。これまで従業員に自らの信念を伝えることはなかったが、今年初めて新入社員約80人に自身の思いを講演した。
現在は約80社、3000人以上の従業員で構成する大企業となった日本アジアグループ。会長に就いて10年弱が経過し、山下の考えにも変化が生まれつつあるという。
 昔は自分の会社の経営資源にはない事業を追い求めていたが、「今は手元にあるシーズをどのように膨らませるかを考えるのが面白い。そちらの方が結果的に従業員のモチベーションも高まる」。
 エネルギー事業ではバイオマスや風力への参入に向けた準備を進め、空間コンサルティング事業ではIT(情報技術)を駆使した位置情報サービスも打ち出す考えだ。次なる成長へ向けた歩みには山下の違った一面が見られるかもしれない。
2016/06/27 7:45