東芝(6502)【外部連携による経営再建のための事業説明会を4年ぶりに開催!】

東芝  [6502] 東証1部 時価:380,2円

東芝は昨日、4年ぶりとなる技術戦略説明会を都内で開きました。経営再建の中で注力事業と位置付けた半導体、エネルギー分野の今の取り組みのほか、次世代メモリーなど将来有望とみる4つの先端技術を披露しました。昨年発覚した会計不祥事以降、技術分野に焦点が当たる機会に恵まれなかっただけに、登壇者の説明は熱がこもっていました。
 冒頭にあいさつした綱川智社長は「東芝141年の歴史の中で幾度かの危機があったが、技術を通じて社会に価値を提供する挑戦は途切れることがなかった」と述べました。そして、研究段階としながらも、将来有望とみる4技術を紹介しました。
 まずは主力の半導体分野では、高速で記憶性能に優れる「MRAM(不揮発性磁性体メモリー)」の開発を進めていることを明らかにした。東芝主力のNAND型フラッシュメモリーとDRAM、SRAMの長所を兼ね備えたもので、10ナノ(ナノは10億分の1)メートル台の素子で高速・低消費電力で動作することを既に実証しているという。
 英国の東芝ケンブリッジ研究所では情報セキュリティーを高めた量子暗号通信技術の応用開発を進めるという。現地通信大手、BTグループと連携して金融業界などへの提案を推進する。
 このほか奈良先端科学技術大学院大学と共同で進めるゲノム関連の試薬開発を紹介。同技術では病変細胞をかなり早い段階で発見できるようになるという。ビッグデータのうち、文字データを効率的に分析できる技術を米スタンフォード大と共同で研究していることも明らかにした。
 また、登壇した技術トップの西田直人執行役専務は、積極的に外部の企業や研究機関などと連携する「『オープンイノベーション』を取り入れて効率の高い研究開発を進める」と述べた。
 外部連携は東芝再生のカギにもなる。すでにアルコール検知器や知育ロボットの開発・製品化でベンチャー企業などとの連携例が出てきており、今後もこうした取り組みを広げる考えだ。
 別室ではパネルや製品の実機を展示し、来場者らの関心を誘っていた。傘下の原子力子会社、ウエスチングハウス(WH)の最新鋭原子炉「AP1000」のほか、水素製造装置、リチウムイオン電池、音声・画像認識などを人工知能(AI)を使ってクラウドで提供するサービス「リカイアス」などが並んだ。証券アナリストなど説明会の参加者は約170人にのぼった。
また、綱川社長は、こうした技術を支えるため、中止している新卒採用を18年4月入社から再開する方針も示しました。今回のような説明会は毎年継続的に開催したいという。誇るべき技術に焦点をあてることは、普通の会社に戻る大きな一歩であり、会計不祥事で低下した技術者の士気向上にもつながることになるでしょう。
更に同社は米IT(情報技術)大手のデルテクノロジーズと協力して、人工知能(AI)による運営効率化の実証実験をすると発表した。AIの技術のうち「深層学習(ディープラーニング)」を活用したシステムの枠組みを提案し、川崎市の東芝のビルを使って、センサーのデータを集め、ビルの設備機器やオフィスの管理などを対象にした基盤技術を検証する。
 あらゆるモノがネットにつながる「IoT」でAIを組み合わせた効率化を狙う。検証時期は8月から来年9月まで。川崎市にある東芝の拠点「スマートコミュニティセンター」を使ってビル管理システム、空調機器、セキュリティーゲートなどから得られるビッグデータを活用。設備に付けられた各種のセンサーの保守最適化や保守コストの削減、機器の稼働率向上などを目指す。
 東芝とデルの検証する枠組みは米IoT推進団体の「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム(IIC)」に提案し、このほど承認を受けた。東芝はIICの承認を受けることで協力企業を募りやすくなり、ビジネス立ち上げを早めることができると見ている。
2016/10/19 8:25