日本カーボン(5302)【セラミックスが空を飛ぶ、「CMC(セラミック・マトリックス複合材)」実現へ

日本カーボン  [5302] 東証1部 時価:231円

重工業製品をはじめ世界の多くのものが合金で作られています。しかし、世界の素材・材料研究者たちは常に「もっと優れた新素材」の探求を続けてきました。そんな彼らが “合金に代わる新素材”として夢見てきたのが、金属より耐熱温度が高くはるかに軽いセラミックスを使った新素材。しかし割れやすいセラミックスの「強度」克服という難問が、世界中の研究者や企業を泣かせてきました。特に、高温環境に晒され軽量化が求められる航空機エンジンへの適用は何十年も切望されてきたものの、その実現は困難を極めてきました。しかし、米GEは20年を費やした研究の末、2015年についに「CMC」を使った次世代航空機エンジン「LEAP」の飛行テストに成功。合金に比べ熱膨張や変形が少ないCMCは、航空機エンジンの設計を一新します。空冷が不要になり燃料ロスを大幅に抑えられるなど革命的なメリットをもたらすこの新素材、GEは今後、世界最大の航空機エンジンとなる「GE9X」にも使用する計画です。砕けやすいセラミックスを合金に勝る素材に変貌させる決め手になったのは、日本カーボン(5302)が開発した炭化ケイ素連続繊維「ハイニカロン」です。耐熱合金より強度がありながらも軽いこの繊維をセラミックスに埋め込んで焼成することで、セラミックスの弱点を解決したのです。日本カーボンの開発チームは世界の科学者からのフィードバックを得ながら、ケイ素(Si)とカーボン(C)を主とするこの素材の改良を重ね、ニカロン(化学組成:SiCO)→ハイニカロン(Si-C)→ハイニカロン タイプS(SiC)と変遷させてきました。SiCOでは1200度以上で酸素(O2)が分解されて劣化する問題を、酸素を無くしたSi-Cにして回避。しかしSi-Cでも1000度以上で繊維が伸びて変形(クリープ現象)する弱点があったため、ケイ素と炭素の比率を1:1に近づけて結晶成長させたSiCを開発。この「SiC=ハイニカロン タイプS」こそがGEのCMCを完成させた夢の繊維であります。今ではこれを製造できるのは世界に2社のみしかありません。GEがCMC製造を本格開始するにあたり、日本カーボンはSiC繊維の量産のためにGEと仏サフラングループと共に合弁会社NGSアドバンストファイバー株式会社を設立(筆頭は日本カーボンで50%出資、GEとサフラングループは各25%を出資)、富山県内で製造を手掛けており、いま増設中で新工場ではSiC繊維を本格量産し、米国のGEの工場へと出荷予定です。また、米国内でもSiC繊維の製造を始める計画で、すでに工場建設の準備が進んでいます。そしてこの「CMC」、今後、発電用ガスタービンなど様々な分野で応用され重工業分野での効率性向上に大きく寄与していくことでしょう。日本が誇る素材技術が、世界を大きく変えようとしています。
2017/01/11 7:35