澁谷工業(6340)【無菌の技の技術を応用して再生医療を次の主役に!】

澁谷工業  [6340] 東証1部 時価:2887円

澁谷工業(6340)は、ペットボトルなどに飲料や薬を充填するボトリングシステムで国内シェア約6割を持つトップメーカーです。後発だった同社がトップを走る秘訣は、システムの内部を無菌状態に保つ技術で、この技術を応用して乗り出しているのが再生医療の分野であります。
渋谷工業のRM(リジェネレイティブ・メディシン=再生医療)システム森本工場に入ると、巨大な箱のようなものが目に入る。「セルプロアイ」と呼ばれる装置で、体の様々な組織や臓器の細胞に分化するiPS細胞や幹細胞などを培養するのに使われます。側面は透明になっており、外から培養液やシャーレなどをセットできるように、オペレーターが手を入れられるようにしている。内部には双腕型ロボットがあり、シャーレに入ったiPS細胞などに培養液を供給する。
 細胞を安全に培養するには無菌空間を設ける必要がある。半導体工場や病院にあるようなクリーンルームを建設すれば数億円の費用がかかる。同社は殺菌作用のある過酸化水素の蒸気を用いてセルプロアイの中に無菌空間を作る。設置面積はクリーンルームの半分程度で済む。セルプロアイの「キモ」の1つとなっている殺菌技術。これを培ってきたのが同社の主力製品であるボトリングシステムです。消費者の安全を守るには飲料を注入する際にボトルや瓶の内部だけでなく、ボトリングシステムの内部も無菌状態を維持する必要があります。
 以前はボトリングシステムの内部を熱で殺菌していた為、ボトルは熱に耐えられる様に厚みを持たせなければならなく、ボトルの製造コストがかさんだり、加熱で飲料の風味が落ちたりしていた。
 しかし、同社は加熱する代わりに過酸化水素で殺菌し、無菌状態を長時間保つ技術を確立し、「他社製品より2〜3倍長く無菌状態を維持できる」、「無菌技術に詳しい機械メーカーは他にない」と渋谷弘利社長は自負する。
健康志向の高まりによるサプリメント飲料などの需要増で、ボトリングシステムの市場は緩やかな伸びが見込まれる。今後はペプシコやコカ・コーラといった世界的な飲料メーカーが集積する米国や、ビールやワイン会社が多い欧州を狙っていきます。 
澁谷工業が海外市場開拓とともに、新たな収益源として期待しているのが09年に参入した再生医療システム事業であります。セルプロアイの開発は14年。それに先立つ11年にはベンチャー企業のサイフューズ(東京)と組み、細胞塊から血管や軟骨をつくるためのバイオ3Dプリンターを開発しました。山口大学とは肝硬変治療のための細胞培養で共同研究を進めています。更に6億〜7億円を投じて「細胞培養加工センター」をRMシステム森本工場に併設する。自社機械を活用し、再生医療の現場で患部に貼り付ける「細胞パッド」などを生産・加工する。17年秋の稼働を見込んでおり、再生医療を担う大学や研究機関に供給する予定であります。
澁谷社長が再生医療システムに進出した訳は、「ボトリングシステムでは機械内部を滅菌したり、本当に無菌状態なのか確認したりする技術が重要になる。同社は米医薬コンサルティング会社を通じ技術を身に付けてきて、当社の技術者が再生医療を研究する山口大学の教授と偶然知り合いになり、参入する決め手となりました。 
再生医療システム事業の将来性について、「すでに日本一、世界一の技術がある。ロボットで細胞を培養する技術のほか、再生医療に使う細胞シートより厚みのあるパッドを作れるメーカーは当社だけだ。3〜5年で最大300億円に伸びる予感がする」
 「細胞パッドなどを生産する細胞培養加工センターが動き出す。再生医療を研究する大学教授らに供給していく。厚生労働省の認可を受けて実際に患者に治療が施されるようになれば、2〜3年のうちに再生医療用機械の販売よりも、細胞パッドの供給ビジネスの方が大きくなるだろう」
 更に、「米国のほかタイやシンガポールなどの東南アジアにも本格展開する。タイは日本の商社が出資する病院があり、こうした商社と組みたい」
 渋谷工業の連結売上高は7期連続で過去最高を更新しました。ただ「再生医療を除いた従来事業だけでは売上高1000億円が限界だ」(澁谷社長)。だが、再生医療はうまく進めば見込み生産が出来、売上高を次の1500億〜2000億円を目指すには欠かせない事業だ」。と話しています。
2017/02/27 8:00