激変するサーバー業界、フラッシュメモリの台頭、半導体製造装置は空前の活況!

産業界の潮流として、野村證券のレポートを紹介します。

2016年は、急伸しているサーバー市場で、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)を使用せず、全てSD メモリカード等に使用されているフラッシュメモリでストレージ(外部記憶装置)を構築する「オールフラッシュサーバー」の売上が、サーバーメーカー各社の予想を上回って急拡大した。野村ではこの流れを、10年に1度の産業革新として注目しており、17年も「オールフラッシュサーバー」がメモリ及び半導体製造装置市場の拡大を強力に牽引していくと予想している。
「オールフラッシュサーバー」でウェブを検索すると、サーバーメーカーが「フラッシュメモリで、HDDサーバーを駆逐する」と気勢を上げている記事やコラム等が目に入る。高コストであるため、16年の年初の段階では、「オールフラッシュサーバー」の売上が拡大するのは20年以降という見方が主流だった。
しかし、フラッシュメモリの記憶容量当たりのコストはHDD の約10倍と極めて高コストであるものの、以下で述べる数々の非価格メリットがあるため、サーバーメーカーの想定を上回るペースで、「オールフラッシュ」の導入が進んだ。
具体的には、「オールフラッシュサーバー」はHDD で構築したサーバーと比較して、(1)設置体積が10分の1になる、(2)HDD とは異なりモーターがないため発熱が少ない、(3)モーターの駆動や冷却用の消費電力が4分の1以下になる、(4)機構が単純なため、故障が少なく、ソフトの設計も簡単であり、メンテナンスの手間が3分の1程度になる、(5)データの読み出し時間が短く、データ更新処理の時間がHDD の6〜7時間から1.5時間に短縮できるため、週次ではなく日次でのデータ更新が可能となる、というメリットがある。
事業機会に対して俊敏なサーバーメーカーは、16年春には、ランニングコストを含めた4〜5年の製品稼働期間で計算すれば「オールフラッシュサーバー」がHDDサーバーよりも安価になるような製品を発売しており、資金繰りに余裕がある企業であれば、「オールフラッシュサーバー」が導入しやすくなった。
そして、遂にゲームチェンジャーが出現した。市場を劇的に変えるとみられるのが、大手メモリメーカーが16年春に投入したサーバー用のフラッシュメモリアレイである。
HDD と比較して体積当たりの記録密度が1桁大きいことに加えて、スピードで350倍、記録容量当たりの価格でも通常のHDD よりも約5倍高額な高速HDD を下回るという驚異的な製品である。HDD に対して大幅に高価格なフラッシュメモリがコスト優位を発揮する鍵となっているのが、リアルタイムでのデータ重複排除と圧縮である。
データ重複排除とは、オフィスで各人が使用しているパソコンのデータについて、各人が固有に作成したデータの領域と、ほぼ共通化されている、もしくは初期設定のままになっている領域を峻別して、固有領域のみをサーバーに書き込むことで、データを軽量化する技術である。
これとリアリタイムなデータ圧これとリアリタイムなデータ圧縮を組み合わせることにより、「オールフラッシュサーバー」はHDD に対して最大で10倍のビット容量の効率利用が可能となっており、実質的なビットコスト(容量当たり単価)で高速HDDに対して、フラッシュが優位に立つことができるようになった。
高速HDD が使用されている、高速サーバーは、今後、急速に「オール フラッシュサーバー」に置き換わっていこう。サーバー市場そのものも順調に拡大しており、17年には、「オール フラッシュサーバー」向けのフラッシュメモリだけで、月次のウェーハ処理能力が5万枚の大型半導体工場を15程度増設する必要がある。サーバーがフラッシュメモリを需要している時に出現したのが新型のフラッシュメモリである3D-NAND である。サーバー用としては、従来の2D 型よりも3D-NAND
の方が遥かに適している。3D-NAND の寿命は、FG(浮遊ゲート)型の10倍程度と推定される。高速性・低消費電力でも、3D-NAND はFG 型に対して優位にある。一部のサーバーメーカーがプレミアムを乗せて3D-NAND を購入している。
フラッシュメモリメーカーは、設備投資にアクセルを踏んでおり、半導体製造装置メーカーに大量の発注が出されている。しかし、17年に新規に稼働する半導体工場の製造能力では、上述の需要の半分程度しか満たすことはできず、当面、メモリ及び半導体製造装置市場の活況は持続しよう。(和田木 哲哉)