楽天(4755)【打撃練習VR(仮想現実)で狙え、特大ホームラン!】



楽天  [4755] 東証1部 時価:1373円

プロ野球パ・リーグのトップを快走する東北楽天ゴールデンイーグルス。同球団が今シーズンから本格導入したのがVR(仮想現実)を使った打撃トレーニングシステムだ。具体的にどんな仕組みでどのような効果があるのか。運用の実態に迫ってみました。
 北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手の代名詞となった「時速165キロメートルの剛速球」。このボールは、大谷選手の手を離れてからホームベースに到達するまでに0・4秒もかからない。並外れた対応力を持つプロ野球選手であっても、ほとんど見たことがないこのレベルの剛速球を痛打するのは、至難の業だ。まして、初見であったらチャンスは非常に少ない。しかし、先端のIT(情報技術)がこの状況を変えようとしている。VR技術を用いたトレーニングシステムの本格的な実用化だ。
東北楽天ゴールデンイーグルスは2017年シーズンから、NTTデータ(9613)が開発したVRトレーニングシステムの本格利用を開始した。試合で対戦する投手の投球を、VR用HMD(ヘッドマウントディスプレー)を装着した打者が仮想体験できる。対戦前に球速や球筋、変化球のキレなどを打席からの目線でイメージとしてインプットしておくことで、実戦でのパフォーマンスを高めるのが狙いだ。「相手投手のフォームを見たいのであれば映像で十分だが、映像はバックネット裏から撮影されているので、打席からの目線とは異なる。VRでやる意味はそこにある」。 
楽天は16年シーズンに同システムを実験的に導入。1軍のメンバーはコーチも含めて全員が体感し、要望を吸い上げて改良を重ねた。1軍では昨シーズンから今江年晶選手や銀次選手が同システムを活用しているが、今シーズンからはより多くの選手が利用している。このほか、2軍選手の練習での活用も検討している。2軍選手に1軍の投手の球をVR「体感」させることで、1軍に昇格した際に対応する時間を短縮する効果が期待できる。
「『ゼロ打席目』の感覚が味わえる」――。同システムを積極的に活用する今江選手がこう評するように、プロ野球選手向けのシステムは一般消費者向けのVRゲームなどとは異なり、試合での打席と同じように見える「リアリティー」が強く求められた。
 それを実現するポイントになった技術が2つある。1つは、野球場の空間を3次元で再現したCG(コンピューターグラフィックス)映像に、投球の軌跡を正確な位置に重ねる技術だ。
 楽天が本拠地とするスタジアム「Koboパーク宮城」には、ボールの軌道をトラッキングする「トラックマン」(デンマーク・トラックマン社製)というシステムが導入されている。軍事用のドップラーレーダーを応用した追跡技術を採用しており、ボールの位置(3次元座標)、速度、回転速度などの情報を取得する。楽天はトラックマンで全主催試合の全球データを蓄積。この中から対戦する投手のデータをNTTデータに提供し、同社がボールの位置をCG空間に正確に重ねる。
NTTデータのVRトレーニングシステムは、内蔵するセンサーで頭の動きを検出するほか、付属の外部カメラを使ってHMDを装着した人の動きを検出する機能を持つ。これを利用して、個々の選手ごとで異なる打席の立ち位置や、スイング時の頭部位置の変化に応じて、打席から見た正確なボールの軌道を再現している。
 VRトレーニングシステムをプロ野球の現場で日々活用するためには、「運用体制」も重要なポイントになる。NTTデータでは、予告先発などの情報から次のシリーズで対戦する相手投手の直近のデータを楽天野球団から入手し、VRコンテンツを作成して提供しています。
2017/06/22 7:15