Gunosy(6047)【絶好調グノシーが「大転換」に踏み出した理由!】



Gunosy  [6047] 東証M部 時価:2577円

スマートフォン向けニュースアプリを運営するGunosy(6047)の業績が好調だ。7月14日に発表した通期決算(2016年6月〜2017年5月)は、売上高77億円(前期比68%増)、営業利益15億円(同169%増)というもの。上場1期目の2015年度と比べると、営業利益ベースで10倍近い成長を遂げた。牽引役となったのは基幹アプリ「グノシー」や、大株主のKDDIと組んで昨年6月に提供を開始したアプリ「ニュースパス」における広告配信事業だ。ダウンロード(DL)数は合計で2268万(前期2043万)に伸長。「グノシー」が140万、「ニュースパス」が85万の伸びを達成した。両アプリを合計した1日当たり利用者数(3〜5月)は、前年同期比で約50%増加(実数は非公表)。つれて、アプリ内で表示する「インフィード広告」の収入が大きく伸びた。また同社は、DeNAの「キュレーション問題」と時を同じくして、読者の誤解を招く広告を排除する広告掲載基準の厳格化にも取り組んできた。そのため、全体の広告主数は直近3カ月間で1割程度減ったものの、「売上高のほとんど(約9割)を決める、当社に多く出稿する取引先の数は減っておらず、ビジネスに悪影響は出ていない」(グノシーの福島良典CEO)。今後の計画についてもいたって強気である。グノシーは同日、今年度(2017年6月〜2018年5月)について、売上高107億円(前期比39%増)、営業利益22億円(同45%増)とする業績予想を発表。引き続き広告宣伝を打ちながら、「グノシー」と「ニュースパス」のDL数を前期と同程度伸ばす計画だ。また今期から、各アプリ内で記事・広告配信の「パーソナライズ」を本格化させる。これまでは性別、年齢など、比較的ざっくりとしたユーザー分類に基づいて配信コンテンツを分けていたが、今後は朝・昼・夜の時間帯別の志向を反映したり、各ユーザーが過去にクリックした記事を参照したりと、さらにきめ細かい出し分けを推進。ユーザー満足度や継続率の向上、ひいては広告単価の向上を狙う。「グノシーは創業当初からパーソナライズの技術を強みとしてきた。ただ、限られたユーザー数、限られたデータを基にパーソナライズをしようとすると(判別・予測の精度を悪化させる)過学習を起こしてしまうため、難しさを感じていた。それが今、(データ量が十分に増えて)解決できる段階になってきた。改めて原点回帰し、競争優位性を築いていく」(福島CEO)。新規事業の育成にも余念がない。グノシーは5月以降、ファッション・グルメなどの女性向け情報を提供する「LUCRA(ルクラ)」、フリマをはじめ複数のショッピングアプリで横断的に商品検索や価格比較ができる「Bazzary(バザリー)」という2つのアプリを次々と発表している。
背景にあるのが、グノシーが決断した“戦略転換”だ。具体的には「多機能・単一アプリ」の戦略から「単一機能・複数アプリ」(配信アルゴリズムなど、アプリの裏側の仕組みはそれぞれ共通)へと修正している。
かつて同社は、決済、漫画、チラシなど、ニュース以外の機能をグノシーアプリの中に取り込み、ユーザーとの接点を増やす構想を掲げていた。ただ、それでは思うような成果を出せなかった。「情報リテラシーが高くない多くのユーザーにとっては、複数の機能を一つのアプリに入れ込んでしまうと複雑で使いづらい。結果としてあらゆる機能が使われずに終わってしまうことを学んだ」(福島CEO)。
一方、エンタメ・スポーツニュースが中心で若年層向けの「グノシー」、政治経済を含む王道ニュースをそろえる中高年向けの「ニュースパス」と特徴を明確に分けた両アプリは、ユーザーの重複率が5%と、会社が想定した「最大10%」という値以下に抑えることができている。この勝ちパターンをほかの未開拓領域でも存分に生かして成長を目指すほうが、より現実的な戦略だと判断したわけだ。
成長余地はまだあるのか?
大胆な戦略転換とともに好業績をたたき出したグノシーだが、もちろん課題もある。
そのひとつが動画への対応だ。独自の動画キュレーション配信アプリ「ビデレー」の試験運用を通じて研究開発を進めており、今期はこの知見を「グノシー」内の動画配信に生かしていくという。だが、SNSやニュースアプリ各社の中には、すでに広告メニュー化していたり、一定の収益化が進んでいたりする例もある。出遅れ感は否めない。
決算説明会では、アナリストから「直近の動向をみると、売上高107億円は強い(ハードルが高い)目標では?」など、今期計画に対する厳しい見方も聞かれた。これに対し福島CEOは、既存事業は計画通りに進捗しており、新規事業の貢献をほとんど見込まずとも十分達成可能であることを強調した。だが、新規事業の育成とバランスを取りながら高い成長率を維持するのは、決して容易ではないだろう。
スマホ向けニュースの市場成長を牽引してきたスマートニュース、グノシーなどは、サービス開始からすでに丸4年以上が経過し、スマホアプリの世界で古株といえる領域に入ってきた。一方、今年2月にはコミュニケーションアプリのLINEがニュースページを見やすくするための刷新を行うなど、競争はますます激化している。
急激な市場成長に終わりが見えたときに、グノシーは変わらず勝ち続けられるのか。勝負はまだこれからだ。
2017/07/19 12:50