昭和電工(4004)【独SGLカーボンの黒鉛電極事業を買収、市況が急好転、世界最大手に!】



昭和電工  [4004] 東証1部 時価:3595円

昭和電工(4004)が今月2日、独SGLカーボンの黒鉛電極事業を買収した。米国の独禁当局からの承認を得るために、このうち米国事業は11月上旬に東海カーボンに譲渡する。黒鉛市況が低迷していた1年前の発表時には「逆張り」とも評された買収だったが、この間に市況は好転。事業譲渡で一気に資金を回収したうえで、世界シェアの3割強を握る世界最大手の座を手にした。
黒鉛電極はスクラップを原料に鋼材を生産する電炉で使われる。同社の黒鉛電極事業は市況のサイクルに振り回されてきた。16年12月期は赤字に陥り、今期見込みも損益トントン。それでも「トップシェアを取れば収益力が高まる。市況変動にも耐性がつく」(森川社長)とみる。「売上高利益率で10%、市況が悪くても100億円の利益を稼ぐ『個性派事業』になれる」と力を込める。
 SGLからは欧州とマレーシアの計4工場を取得する。生産能力は合計で年12万トン。既存の自社工場との合算では7拠点の年25万9千トンで、米グラフテック・インターナショナルに3割強の差をつけて首位に立つ。目をひくのは事業買収に投じる金額が156億円だったのに対して、生産量では2割の米国事業売却で、129億円を回収してしまうことだ。中国発の鉄鋼不況が落ち着き、黒鉛市況も急回復したことが背景にある。
 負債込みで考えると、買収時のSGLの黒鉛電極事業の全体の評価額が約400億円に対し、売却時の米国事業の評価額の165億円。差し引きは235億円になる。生産能力1万トン当たりでは約20億円になる計算だ。
 15年に米ファンドが当時最大手のグラフテック・インターナショナルを買収した際には1万トンあたり約60億円を投じたとみられる。昭和電工が買った12万トンなら700億円を超える計算で「235億円」の割安感が際立つ。「お見事と言うほかない」と大手証券のアドバイザーも認める。
今後はグローバルトップの地位を活用して相乗効果の発揮を急ぐ。重複する管理部門を削減するほか、地産地消を進めて運送費も減らす。原料調達でもメリットが見込めるという。2020年までに40億円のシナジー効果を出せるという(森川社長)。
2017/10/17 8:10